皆さんは釣ったばかり、もしくは獲ったばかりの魚の刺身と冷蔵庫などで数日間おいておいた魚の刺身どっちの方がおいしいと思いますか?
この質問に多くの方は釣ったばかり、獲ったばかりの魚の方がおいしいと答えるのではないでしょうか。理由としては実際にテレビなどでもタレントさんがとった魚をすぐに調理し、食べるといった番組も行われているほどですからと思われるのではないかと感じます。しかし、答えは
獲りたてよりも冷蔵庫などで数日間おいた魚の方がおいしい
です!
そんなわけないって思う方もいるかもしれませんが、どうして数日おいた魚の方がおいしいのかこれから説明していきます。
魚がおいしくなる旨味成分
魚は死後旨味成分が筋肉中に作られていきます。正確に言うとATPという成分が分解され、旨味成分になるといった方が正しいかもしれません。この旨味成分というのはイノシン酸という成分のことです。ではこの成分ができるメカニズムについて簡単に紹介します。
魚は死後ATPが筋肉中で分解されていきます。この分解について以下に示します。
ATP→ADP→AMP→IMP→HxR→Hx
この図の中でのIMPという成分がイノシン酸という成分です。上の図からもわかるようにATPからIMP(イノシン酸)になるまでに3回もの分解が生じています。そのため、数日間魚を冷蔵庫などの腐らない環境下に数日間おいておく(俗に言う熟成)方がATPがIMPに分解されよりおいしい魚を食べることが出来ます。
鮮度について
しかし、魚をおいておくにしても新鮮さは大丈夫なのか?と思う方もいるかもしれません。その点に関しても問題ありません。その理由について魚の鮮度の指標となる値、K値と共に説明していきたいと思います。
K値とは、魚の新鮮さの度合いを%で表した値のことです。基本的にK値が高いものほど鮮度が良くないという事を示しています。
K値は20%前後のものが上寿司種・刺身、40%前後のものが回転寿司の寿司種、60%~80%のものがかまぼこの原料に使われるなどK値の違いによって魚の使われ方が変化していきます。ちなみに釣ったばかりの魚(即殺魚)は10%以下です。
K値の求め方
ではK値はどのようにして求めるのかについて説明していきたいと思います。K値は先ほど説明した「魚は死後、筋肉中でATP→ADP→AMP→IMP→HxR→Hxの順番に分解されていく」これを利用して求めていきます。K値の式は以下のような式になります。
K値(%)=(HxR+Hx)/(ATP+ADP+AMP+IMP+HxR+Hx)×100
この式を用いることによって魚の鮮度を測ることが出来ます。
最後に
私自身魚は釣ってすぐに食べたものでおいしいと感じた魚は一つもありませんでした。そのため、釣った魚はすぐにさばいて、切り身もしくは刺身にしてラップをかけて1日ほど冷蔵庫の中で熟成させてから食べています。このようにして食べると味は格段に変化していると思います。魚は常温でなければ基本的には数日で腐るということはないと思いますので皆さんも是非試してみてください。
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